2024/02/21 訪問介護

訪問介護で記録を作成する理由と作成のコツ5選【〇〇だけは書いて】

訪問介護で記録を作成する理由と作成のコツ5選

 

「訪問介護の介護記録って何のために書いてるの?」

 

目的がわからないとどんな内容を書けばいいのかもわからないですよね…。

 

しかし、介護記録は法的な証拠になることもありますし、きちんと書けないとあとで後悔するかも…。

 

ということで今回は、介護記録の役割から作成のポイントまで幅広く解説しています。

 

全部読むと、介護記録がスラスラと書けるようになるはずです。

 

 

訪問介護の介護記録とは

訪問介護の介護記録とは

 

訪問介護の介護記録とは、訪問介護員がご利用者様の自宅を訪問し、行ったサービスやご利用者様の健康状態などを詳細に記録したものです。

 

この記録は、他のスタッフのみならず、ご利用者様やご家族様、他の関係機関の方々も見る事があるため、正確な内容を記載する必要があります。

 

ご利用者様との会話や行動などを細かく記録しておくことで、現在のサービスがご利用者様に適しているのか、改善できることはあるのか検討することもできます。

 

訪問介護の介護記録は、ケア日誌や訪問介護記録、連絡ノートなど様々な呼び名がありますが、内容はどれも、行ったケアやご利用者様の状態を記録したものになります。

 

介護記録は、サービスの質を高め、改善し、ご利用者様との信頼関係を築くうえで不可欠なのです。

 

 

訪問介護の介護記録が無いとどうなる?

訪問介護の介護記録が無いとどうなる?

 

訪問介護の介護記録がない場合、その影響は単にサービスの質の低下にとどまらず、法的および財政的な重大な問題を引き起こす可能性があります。

 

考えられる主な問題は以下の3つです。

 

法的および財政的な重大な問題

 

  • 1.報酬請求の問題

 

介護サービスに対する報酬は、提供されたサービスの記録に基づいて請求されます。
記録がない場合、提供されたサービスの証明ができず、結果として報酬の請求が認められない可能性があります。

 

  • 2.法的な処分のリスク

 

介護保険制度では、サービス提供の記録が義務付けられています。
記録が適切に残されていない場合、事業所に対して返戻や指定取消、さらには事業の停止といった重大な処分が行われることがあります。

 

  • 3.介護報酬返還

 

記録に不備がある場合、適正なサービスが提供されたことを証明することができません。
その結果、既に受け取った介護報酬を返還しなければならなくなることがあります。

 

以上のように、訪問介護の介護記録は単に日々の業務の一部ではなく、法的および財政的な観点からも極めて重要な役割を果たします。

 

適切に記録をすることは、サービスの質を保証するだけでなく、事業所の安定した運営を支える基盤となるのです。

 

 

介護記録の役割

介護記録の役割

 

この章では、訪問介護における介護記録の重要な役割について解説します。

 

 

情報共有

介護記録は、ご利用者様のケアに関わるスタッフ間での情報共有に使われます。

 

ご利用者様の健康状態やケアの履歴を正確に伝えることで、継続的かつ一貫性のあるケアを可能にします。

 

例えば、前回の訪問での特定の健康問題や対応策が記録されていれば、次に訪問する介護士はその情報を基に適切なケアを提供できます。

 

一方で、情報共有が不十分な場合、ご利用者様に適切なケアが提供されない可能性があります。

 

例えば、重要な健康情報が記録されていないと、次にケアを行う介護士がその情報を知らず、不適切な対応をしてしまうことも。

 

このような状況を避けるためには、全ての介護士が適切な記録を残し、情報共有を徹底することが重要です。

 

 

事故が起きた際の証拠

介護記録は、事故や不測の事態が発生した場合に、その原因や経緯を明らかにするための重要な資料となります。

 

事故に関連する訴訟や調査が行われる場合、介護記録は法的な証拠となるのです。

 

そのため事故が起きた際には、介護記録にはその時の状況、発生した事故の種類、ご利用者様の反応、取られた対応措置などを詳細に記録する必要があります。

 

一方で、事故の詳細が記録されていない場合、何が原因で事故が起きたのか、誰が責任を負うべきかが不明確になり、原因分析や再発防止策を考えることができません。

 

これらの問題を避けるためには、事故が発生した際には、詳細な記録を行い、その記録を適切に管理することが重要です。

 

これにより、事故の原因を明確にし、将来的なリスクを最小限に抑えることができます。

 

 

サービスの質向上

介護記録は、ご利用者様に提供されるケアの質を高めることにも役立ちます。

 

介護記録を通じて、ご利用者様一人ひとりのニーズや健康状態の詳細が把握できます。

 

これにより、介護士はより個別化され、ご利用者様に合ったケアを提供することが可能になります。

 

また、記録があると、定期的に見直し、ケアの方法などを改善することで、より質の高いサービスにしていくことができます。

 

一方で、記録が不十分な場合、利用者のニーズに合わないケアを提供してしまうことも。

 

ご利用者様の健康状態の変化に気づかず、同じケアをし続けるということが起こり得ます。

 

介護記録は訪問介護におけるサービスの質を向上させるために不可欠な要素です。

 

適切な記録とその活用により、ご利用者様に最適なケアを提供することができるのです。

 

 

コミュニケーション

介護記録は、ご利用者様やご家族様とのコミュニケーションツールの一つです。

 

例えば、介護記録を通じてケアの詳細を共有することで、ご家族様はご利用者様の日々の状態や行動を把握できます。

 

透明性のある介護記録により、ご利用者様やご家族様は提供されるケアの内容を理解し、介護士との信頼関係を築けるようになります。

 

一方で、介護記録によるコミュニケーションが不十分な場合、ご利用者様やご家族様の不安や誤解が生じる可能性があります。

 

例えば、ケアの内容や変更点が適切に伝えられないと、ご家族様はご利用者様のケアに対して不安を感じるかもしれません。

 

このような状況を避けるためには、定期的な記録の共有と、それに基づくオープンなコミュニケーションが重要です。

 

介護記録は訪問介護におけるご利用者様やご家族様とのコミュニケーションを促進し、信頼関係を深めるために不可欠なのです。

 

 

介護記録に書くべきこと

介護記録に書くべきこと

 

この章では、訪問介護の介護記録に含めるべき内容について詳しく解説します。

 

 

日時

訪問介護の記録には、サービス提供の正確な日時が必須です。

 

「2/19 11:00に訪問」のように正確な日付と時間を記載し、そのあとに行ったケアやご利用者様の状態などを記載します。

 

 

訪問介護で行ったサービス内容

介護記録には、提供したサービスの具体的な内容を詳細に記録する必要があります。

 

いつもと変わらない場合でも変わらないということがわかるように記載しましょう。

 

例えば、食事をいつもご自分で完食されるのであれば、「スプーンを使用し、ご自分のペースで全量召し上がった。」というように書くことができます。

 

これが、「食事を完食した」という記述だけだと、ご利用者様自身で食べたのか、訪問介護員が食事介助をしたのかもわかりません。

 

次に訪問したスタッフも同じ質でサービスが提供できるように、わかりやすく具体的に記載しましょう。

 

 

ご利用者様の健康状態

介護記録には、ご利用者様の健康状態の変化を詳細に記録することが必要です。

 

例えば、ご利用者様がしんどそうにしている場合、「少し熱っぽい」などのあいまいな表現は適していません。

 

体温を測り「○○度の発熱」と数字で具体的に記載します。

 

ご利用者様の健康状態を正確に記録することで、介護士はご利用者様の健康変化に迅速かつ適切に対応することができます。

 

また、この記録は医師や他の医療専門家へ連絡する際の重要な情報源にもなります。

 

 

担当者の名前

介護記録には、ケアを担当したスタッフの名前を記載する必要があります。

 

訪問した職員が誰なのかがわかれば、ご家族様も安心できます。

 

また、内容に不明点があったり、なにかあった際に、誰に確認すればいいのか、名前を書いておくとすぐにわかります。

 

 

介護記録作成のポイント5選

介護記録作成のポイント5選

 

この章では、訪問介護の介護記録を効果的に作成するための5つのポイントを解説します。

 

 

1.「だ・である」調で書く

介護記録は、公的な文書であるため、「です・ます」調ではなく「だ・である」調で書きましょう。

 

 

2.5W1Hを使う

5W1Hを用いることで、介護記録はより包括的で詳細になります。

 

これにより、記録が全面的で、必要な情報が欠けることを防ぎます。

 

5W1Hとは、「who(誰が)」「when(いつ)」「what(何を)」「where(どこで)」「why(なぜ)」「how(どのように)」のことをいいます。

 

これを意識することでわかりやすい文章を書くことができます。

 

介護記録を見た人が、全体像を正確に把握するためには5W1Hを使うことが不可欠です。

 

 

3.客観的な事実を書く

介護記録では、主観的な意見や感想を避け、客観的な事実のみを記述することが必要です。

 

主観的な情報を書いてしまうと、誤解や偏見をうむ可能性があります。

 

例えば、「食事を半量残し、今日は食欲がないのとおっしゃった」という記録があれば、ご利用者様の元気がない様子がわかります。

 

しかし、「元気がなさそうだった」という記録だと、なぜ元気がないのかわかりません。

 

元気がなさそうに見えていても、考え込んでいただけで本当は体調が良かったかもしれません。

 

正確な情報を記載するためには、主観的な表現を避けるべきです。

 

客観的な事実を記録する際には、観察した具体的な行動、言葉、身体的な状態などを詳細に記述することが重要です。

 

 

4.1文は短くまとめる

1文は短くまとめた方が見やすくなります。

 

短い方が理解しやすいですし、重要な情報が際立ちます。

 

5W1Hを使いながら、短くわかりやすい文章にしましょう。

 

 

5.専門用語や略語を使わない

介護記録では、専門用語や略語の使用は避けるべきです。

 

ご利用者様やご家族様がご覧になることもあるので、見てわからないような言葉は使いません。

 

また、見て不快になるような表現も避けた方が良いです。

 

例えば、「○○させた」は「○○を勧めた」、「介護拒否」は「意思表示をされた」と言い換えるようにしましょう。

 

言い換えがうまくできない場合は、過去の介護記録を見て、どんな表現で書かれているのか探してみると良いです。

 

専門用語や略語を避けることはもちろん、言い換え表現も使い、見る人の気持ちを考えて記録を書きましょう。

 

 

介護記録の保管期間

介護記録の保管期間

 

介護記録は、厚生労働省令により、介護保険サービスが終了してから2年間の記録保管が義務付けられています。

 

そこには、ご利用者様の個人情報が含まれるため、鍵付き書庫などの安全な場所に保管することが規則で定められています。

 

保管期間の起算点となる日は、ご利用者様ごとに異なり、契約終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、ご利用者様の死亡、ご利用者様の自立等)によりサービス提供が終了した日を指します。

 

また一部の自治体では、介護報酬記録と同様に5年間保管する場合もあります。

 

自治体に問い合わせて、保管期間を確認しておくと良いでしょう。

 

これらの規定とルールに従うことで、介護サービス提供者は信頼性と責任を保つことができるのです。

 

 

まとめ

まとめ

 

この記事を読んでいただき、ありがとうございます。

 

訪問介護の介護記録の重要性、その作成方法、保管期間について理解していただけたでしょうか。

 

正確で丁寧な記録は、ご利用者様の安心と健康を守るために不可欠です。

 

この知識を活用し、より質の高い介護サービスを提供していきましょう。

 

あなたの努力が、多くの方々の生活をより良いものに変えていくことを願っています。

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