2025/06/20 デイサービス

【すぐわかる】デイサービスの役割と3つある類似サービスとの違い

親の介護が始まり、日々の生活に不安や負担を感じていませんか?

「デイサービスって、ただ日中預かってくれる場所?」

そんな疑問を持つ方も多いかもしれません。

実はデイサービスには、家族の負担を減らすだけでなく、「生活を豊かにする」ための大切な役割があるのです。

むしろ知らないまま利用すると無駄な出費につながる可能性も…。

そこで本記事では、介護を担う子ども世代の方々に向けて、デイサービスの基本的な5つの役割と、他の似たようなサービスとの比較、利用することで得られるメリットからデメリットまでわかりやすく解説します。

読み終えるころには、不安が軽減し最適な通所介護サービスを選ぶ力がついているはずです。

デイサービスとは?

デイサービスは、要支援・要介護の高齢者が日中だけ施設に通い、入浴・食事・機能訓練・レクリエーションなどを受けられる介護保険サービスです。

自宅‐施設間の送迎付きで、滞在中は介護職や看護師が見守りを行うため、利用者は安心してリハビリや交流を楽しめます。

デイサービスの役割を一言で表すと、

在宅生活を続けながら “日中の安心拠点” で自立と家族の負担軽減を同時にかなえること

 

です。

利用者にとっては、食事・入浴などの日常支援と機能訓練を受けながら、人と交流する居場所

――つまり「外に開かれた家」のような存在。

家族にとっては、送迎付きで介護を任せられることで仕事や休息の時間を確保できるリリーフ拠点でもあります。

この 「利用者の自立支援」と「家族の休息支援」 の両輪こそが、デイサービスの最大の役割と言えます。

デイサービスの5つの機能(役割)

デイサービスは「日中に通うだけ」の場ではありません。

食事や入浴など暮らしの土台を支えるのはもちろんです。

さらに、心身機能の維持向上、仲間との交流、地域社会とのつながり、さらに家族が安心して休息できる環境づくりなどの役割もあります。

デイサービスは、在宅生活をトータルで支援する5つの機能を一体的に提供しています。

1.生活支援

食事介助・入浴介助・排せつ介助・服薬確認など、日常生活に直結するケアをまとめて受けられるのがデイサービス最大の強みです。

施設には浴槽の段差を抑えた個浴や機械浴が整備され、専門スタッフが安全にサポート。

栄養バランスの取れた食事を摂りながら、生活リズムを整えられるため、自宅での転倒や誤嚥(ごえん)のリスクも低減します。

2.機能訓練

理学療法士・作業療法士などが機能訓練計画を作成し、歩行訓練・筋力強化・関節可動域の維持を目指します。

自宅では難しい専用マシンや平行棒を使うことで、転倒予防や「もう一度トイレまで自力で歩く」といった具体的な目標を支援します

機能訓練の成果は介護度の維持・改善に直結し、結果として介護保険の自己負担額を抑える効果もあります。

3.レクリエーション

歌・手工芸・脳トレゲーム・季節行事など、楽しみながら心身を刺激するプログラムが豊富です。

笑いや達成感はドーパミン分泌を促し、意欲や食欲を高める効果が期待できます。

認知症進行の抑制や、不安感・抑うつの軽減にもつながるため、「ただ時間を過ごす場所」ではなく「元気をチャージする場所」として機能します。

4.社会参加

家の外で人と交流することは、高齢者の役割意識と自己肯定感を保つうえで不可欠です。

デイサービスでは利用者同士が自然に会話し、「作品を披露する」「ゲームで協力する」などの場面を通じて社会的つながりを再構築できます。

地域ボランティアや幼稚園児との交流イベントを実施する事業所も多く、孤立防止と地域包括ケアのハブとしての役割も担っています。

5.レスパイトケア

Respite(レスパイト)は英語で「一時休止・息抜き」を意味します。

デイサービスの利用時間は、介護を担う家族が安心して休養や仕事・用事にあてられる“介護の小休止”となります。

家族が燃え尽きずに在宅介護を続けるためには、このレスパイトケアが欠かせません。

利用回数や時間帯を柔軟に調整できるため、在宅介護と仕事・子育ての両立を図る家庭でも導入しやすいサービスです。

その他の通所サービスとの比較

デイサービスと名称や利用形態が似ている通所サービスは複数あり、違いを把握しておくことで適切な選択がしやすくなります。

以下では、リハビリ主体のデイケア、短期宿泊を伴うショートステイ、少人数で共同生活を送るグループホームと、目的・利用期間・費用の観点から比較していきます。

デイケアとの違い

デイケア(正式には「通所リハビリテーション」)は、リハビリ専門職(理学療法士・作業療法士など)が常駐し、医師の管理下で集中的に機能回復を図るサービスです。

医学的な視点が強く、心身機能の改善や維持が主目的。

一方デイサービスは、生活支援や交流を含む総合的ケアが中心で、リハビリは「生活を送りやすくするため」の範囲にとどまるのが一般的です。

 

費用は、デイサービスよりもデイケアの方が少し高くなるケースが多いです。

ショートステイとの違い

ショートステイ(短期入所生活介護)は、数日~1週間単位で宿泊を伴い、24時間体制で介護を受けられるサービスです。

家族が旅行や冠婚葬祭で不在になる場合など長時間のレスパイトが必要なときに有効。

対してデイサービスは日帰り利用のため、連泊による生活リズムの乱れを避けつつ在宅生活を継続できます。

グループホームとの違い

グループホームは、認知症の方が9人以下のユニットで共同生活を送りながらスタッフの支援を受ける「住まい型」サービスです。

居住を前提にしており、介護保険上は「地域密着型サービス」に分類されます。

一方デイサービスはあくまで通所。住み慣れた自宅を離れずに、日中だけサポートを受けられる柔軟性がメリットです。

デイサービスの種類

ひとくちにデイサービスといっても、利用者の状態や目的に合わせた専門型が存在します。

ここでは認知症ケアに特化したタイプ、短時間の集中リハビリを行うタイプ、宿泊を組み合わせて柔軟に利用できるタイプの3つを取り上げ、それぞれの特色を紹介します。

1.認知症対応型デイサービス

認知症の症状や進行度に配慮した少人数制(定員12名以下)が特徴です。

専門研修を受けたスタッフが、回想法・脳活性プログラム・個別レクリエーションを組み合わせ、不安の軽減と生活機能の維持を図ります。

環境刺激を最小限にした落ち着いた空間で、利用者一人ひとりのペースに合わせたケアが受けられるため、「一般型では落ち着かない」という方にも適しています。

2.リハビリ特化型デイサービス

短時間(1~3時間目安)でマシン訓練・歩行訓練・自主トレ指導に集中するスタイル。

筋力測定や姿勢解析などのフィードバックにより「歩行速度を10%改善」など具体的な目標管理が行われます。

医師の常駐・医学管理の有無がデイケアとの最大の違いです。

デイケアは医師指示の下で理学療法士が実施し、嚥下や言語訓練など医療リハにも対応します。

リハビリ特化型デイサービスは医療行為を伴わず、介護保険の通所介護枠でリハビリに重点を置くため、利用手続きが比較的簡便で、費用も数百円安いケースが多いです。

3.お泊りデイサービス

デイサービス終了後、同じ施設にそのまま宿泊(夕食・朝食付き)できるオプションです。

 

介護者の残業や急な用事・夜間不在時に便利で、利用は1泊~最長数日が一般的。

お泊りデイは通所介護の延長として泊まるため、人員配置や設備基準はデイサービス準拠。

宿泊中は夜勤スタッフが少人数で見守り、医療連携も最低限となります。

ショートステイよりも費用が安く、予約も取りやすい傾向があります。

デイサービスを利用するメリット

デイサービスを取り入れることで、本人は活動意欲や社会的つながりを保ちながら心身の健康を維持でき、家族は介護負担を軽減して安心して自分の時間を確保できます。

さらに認知症の進行抑制や地域交流の促進、将来的な施設選択の参考づくりにもつながるため、在宅介護を続ける家庭にとって多角的なメリットが期待できます。

利用者本人の生きがい

デイサービスでは、作品づくりや季節行事、仲間との会話など「今日はこれをやり遂げた」という実感を積み重ねられます。

自宅にこもりがちだった方でも、誰かに褒められたり役割を持ったりすることで自尊心が高まり、「次も行ってみよう」という意欲が芽生えやすくなります。

家族のストレスを軽減

日中の介護を専門職に委ねられるため、家族は仕事や家事に集中したり、ゆっくり休息を取ったりできます。

「ずっと見守らなければ」という心理的負担が和らぎ、介護と自分の生活を両立しやすくなることが大きなメリットです。

認知症予防・進行軽減への期待

運動・脳トレ・社会交流がバランスよく組み込まれているため、脳への多面的な刺激が得られます。

定期的なリズムで外出し、人と会話するだけでも認知機能の維持に効果があるとされ、進行の緩和や不安・抑うつの軽減が期待できます。

地域コミュニティとのつながり

デイサービスは近隣住民やボランティア、異世代との交流イベントを通じて「誰かと関わり、役割を果たす機会」を継続的に生み出します。

社会的接点が薄れ、孤立や無気力が進む「ソーシャルフレイル(社会的虚弱)」は身体機能の低下にも直結します。

しかし、デイサービスで人と対話し、地域行事に参加することで「外に出るきっかけ」と「居場所感」を得られ、社会的フレイルの予防につながるでしょう。

家族以外のネットワークが広がることで支援の選択肢も増え、安心して在宅生活を続けられる環境が整います。

将来の施設入所などへのきっかけ

デイサービスを利用すると、介護スタッフやケアマネジャーと定期的に情報共有でき、心身の変化を早めに把握できます。

状態が変わった際にはショートステイや特別養護老人ホームなどへの移行をスムーズに検討できるため、「いざ」というときに慌てず次の選択肢を選びやすくなるでしょう。

 

デイサービスのデメリット

メリットが多いデイサービスですが、実際に利用を始めると「思ったより合わなかった」「家族の予定通りにいかない」といった課題も見えてきます。

ここでは、利用前に把握しておきたい代表的なデメリットを挙げ、事前対策や施設選びのポイントを整理します。

利用者が精神的ストレスを感じる

知らない環境へ通うこと自体が不安や緊張を招くケースがあります。

特に認知症の症状がある方は、送迎車での移動や初対面の利用者・職員との関わりに戸惑いや混乱を覚えることもあります。

慣れるまでに時間がかかる場合は、家族やケアマネジャーが事前見学や短時間利用から段階的に関わりを広げ、安心材料を増やす工夫が必要です。

施設によってサービス内容に差がある

デイサービスは事業所ごとにスタッフの専門性、リハビリ機器、レクリエーションの充実度が大きく異なります。

同じ料金でも「リハビリ中心で成果が出やすい施設」と「入浴と食事がメインで活動が限られる施設」が混在しており、期待と実際のギャップが生じやすい点はデメリットです。

見学時にはプログラム内容や職員配置をよく確認し、利用目的に合った事業所を選ぶことが欠かせません。

スケジュールが合わない場合も

施設の送迎時間は事業所が一括でルートを組むため、自宅発着の時間帯が利用者や家族の生活リズムと合わないことがあります。

また、理美容や通院と重なる曜日の振り替えが難しい場合も少なくありません。

結果として「行きたいけれど時間が合わない」という事態が起こり得るため、契約前に送迎時刻の目安や曜日変更の柔軟性を確認しておくことが重要です。

デイサービスのよくある質問

デイサービスを検討するときに必ずと言っていいほど出てくるのが、利用頻度や送迎範囲、キャンセル料、医療的ケアへの対応といった具体的な疑問です。

ここでは利用者や家族から寄せられる代表的な質問に絞り、要点を簡潔にまとめて解説します。

週何回利用するのがベスト?

介護度や目的によって異なりますが、要介護1~2で体力維持や家族の休息が主目的なら週1~2回から始めるのが一般的です。

機能訓練で成果を出したい場合や家族の就労時間に合わせる場合は週3回前後を勧められることもあります。

まずは少ない回数で本人の負担や生活リズムを確認し、ケアマネジャーと相談しながら段階的に回数を増減すると失敗が少なくなります。

送迎エリアはどこまで対応?

多くの事業所は施設から半径5~10km程度、車で片道20~30分を目安に送迎ルートを設定しています。

山間部など交通事情が厳しい地域では範囲が狭まることもあり、逆に都市部では利用者が集中するため効率的に広いエリアをカバーできる場合もあります。

自宅が境界線付近の場合は、曜日限定や時間指定で対応してもらえることもあるので、契約前に必ず個別に相談しましょう。

急なキャンセル料はかかる?

介護保険サービスとしてのデイサービスは、前日までの連絡でキャンセル料が無料の事業所が大半です。

当日キャンセルの場合は食材ロスや人員確保の関係で100~200円程度の自己負担を請求されるケースがあります。

体調不良などやむを得ない事情が認められると免除されることもあるため、早めの連絡と事情説明が肝心です。

医療的処置が必要でも利用できる?

在宅酸素・インスリン注射・褥瘡(じょくそう)処置など軽度~中等度の医療的ケアであれば、看護師が常勤または非常勤配置されているデイサービスで利用可能です。

人工呼吸器管理など高度な医療依存がある場合は、医師が常駐しリハビリ専門職が揃うデイケアや医療機関併設型の通所施設が推奨されます。

 

主治医の指示書と事業所看護師の受け入れ可否が必要になるため、利用意向が決まった時点で主治医・ケアマネジャー・事業所の三者で情報共有するとスムーズです。

まとめ:デイサービスを上手に活用して、在宅介護をもっとラクに

デイサービスは「日中の安心拠点」として、生活支援・機能訓練・レクリエーション・社会参加・レスパイトケアという5つの役割を同時に果たします。

 

認知症ケアに特化した施設、リハビリ重視型、宿泊可能なタイプなど、目的に合わせて選べるバリエーションも豊富です。

さらに、デイケアやショートステイと費用やサービス内容を比較することで、家族の状況に最適な組み合わせが見えてきます。

本記事で紹介したメリットとデメリット、Q&Aを押さえれば、「いつ・どこで・どのくらい利用するか」の判断基準が明確になり、迷いがグッと減るはずです。

利用者本人は生きがいを取り戻し、家族は笑顔で介護を続けられる――そんな未来の第一歩として、ぜひ気になる事業所の見学やケアマネジャーへの相談を始めてみてください。

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