訪問入浴の仕事はきついと思っていませんか?
確かに体力が必要なため「きつい」と思われがち。
「腰を痛めそうだし、なによりしんどそう。」
というイメージを持たれることも多いですが、訪問入浴はやりがいのある仕事です!
今回は、訪問入浴がきついと言われる理由からやりがいまで紹介します!
訪問入浴とは
訪問入浴は、高齢者や障害を持つ人々が自宅で安全に入浴できるようにサポートするサービスのことを指します。
このサービスは、入浴が困難な方々に、自宅でのリラックスした環境での入浴を可能にすることを目的としています。
訪問入浴は、高齢化が進む現代社会において、ますます重要なサービスとなっています。
自宅での生活を継続したいという高齢者や障害を持つ人々のニーズに応えられる、やりがいのある仕事です。
訪問入浴が「きつい」と言われる理由
訪問入浴は、高齢者や障害者の自宅での入浴をサポートする重要なサービスですが、実施する上での負担も少なくありません。
下記のグラフは訪問入浴の退職理由です。
これに対して企業側では「労働環境の改善」「人間関係の相談窓口の設置」「長期継続的な雇用の確保」などの取り組みがされています。
この章では訪問入浴がきついと言われる理由を5つ紹介します。
身体的な負担
訪問入浴のサービスは、身体的な労力を要求される仕事です。
この身体的な負担は、日常的に繰り返される作業の中で徐々に蓄積され、長期的には腰痛など介護士の健康を脅かす要因ともなり得ます。
浴槽を運んだり、ご利用者様の移動支援、そして狭い空間での作業など、多岐にわたる力仕事が含まれるためです。
例えば、浴槽の一般的な重さは25㎏ほどあり、設置や撤去の際に大きな力が必要となります。
また、ご利用者様の移動支援では、ご利用者様の体重を直接支えることが多く、体の大きなご利用者様の場合、その負担はさらに増大します。
そこでアサヒサンクリーンでは浴槽の改良を重ね、10㎏前後まで軽量化しました。
他にも身体的負担を軽減するためには体力を維持するための定期的な運動やストレッチを行い、ボディメカニクスを使うことも大切です。
また、移乗用のシートの使用や、チームワークを活かした作業方法も、身体的な負担を減少させる要因となっています。
定期的な健康チェックや、休息を取ることも、身体の負担を和らげる方法として有効です。
手荒れの問題
訪問入浴の仕事をしていると、手荒れに悩むことが多くなります。
特に、介護職は衛生面から頻繁に手洗いをする必要があり、さらに入浴介助や清掃などの水仕事も多いため、手荒れのリスクが高まります。
また、感染症対策のための手洗いと消毒も手荒れの原因となっています。
手の皮膚は他の部位に比べて皮脂腺が少なく、外部刺激を受けやすい部位です。
手荒れの主な症状としては、
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- 指先の皮膚のめくれ
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- 指のあかぎれ・ひび割れ
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- 粉を吹いた状態
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- かゆみ
などが挙げられます。
対策としては手洗いや入浴の後、ハンドクリームで乾燥を予防する。
また、就寝時にはたっぷりとハンドクリームを塗った後、綿や絹製の保湿用手袋を装着することで、手荒れの改善を促進する。
熱い湯での手洗いや、長時間湯船に浸かることで、必要な皮脂を落としすぎることもあるので注意しましょう。
手荒れの予防・改善には、こまめな保湿が最も重要です。
アサヒサンクリーンでは介護士向けのハンドクリームを製造しています。
また、熱い湯での手洗いは避け、なるべく低温のぬるま湯を使用する。
さらに、手荒れが進行して症状がひどい場合には、自己判断をせずに皮膚科を受診し、専門医の指示の下で正しい治療を受けることが必要です。
複数件の訪問による疲労
訪問入浴の仕事は、1件あたり50分前後で1日に5件~8件のご利用者様のもとを訪れることが一般的です。
このため、移動の疲れや連続した業務による疲労が大きな問題となっています。
道路の混雑、天候などの外的要因もストレスになります。
また、それぞれの訪問先での業務内容やご利用者様の状態に応じて、適切なサービスを提供する必要があり、その都度の切り替えが求められるため、精神的な疲労も蓄積します。
できるだけ疲労をためないように訪問スケジュールを適切に調整し、移動時間を最小限に抑える。
また、訪問間隔に短い休憩を設けることで、疲労の蓄積を防ぐことが大切です。
人間関係の難しさ
訪問入浴の業務は、介護士2名と看護師1名のチームで行われます。
このようなチームでの業務は、スムーズな連携が求められますが、それぞれの役割や性格、考え方の違いから、人間関係の難しさが生じることも少なくありません。
ときには性格やコミュニケーションスタイルの違いから、誤解や対立が生じることも。
特に緊急の状況やトラブルが発生した際には、冷静な判断や迅速な対応が求められるため、チーム内のコミュニケーションが不十分だと問題が大きくなる可能性があります。
定期的なミーティングを設け、業務の進め方や意見交換を行うことで、チーム内の認識を統一し、円滑な連携を図りましょう。
どうしても難しいときは相談することが大切です。
事業所側でも人間関係の相談窓口を設置するなどの取り組みが進められています。
異なる役職や背景を持つメンバーの意見や考えを尊重し、相互の理解を深める努力を続けることで、より良いチームワークを築きましょう。
教育体制が整っていない
訪問入浴の業務は、高度な専門知識や技術が求められる一方で、実際の現場において十分な教育体制が整っていない場合が少なくありません。
不十分な教育体制は、新人や未経験者が業務に慣れるまでの期間を長引かせるだけでなく、サービスの質や安全性にも影響を及ぼす可能性があります。
新人や未経験者は、業務の流れや必要な知識・技術を習得するための指導や研修はミスや事故を防ぐため不可欠です。
職場を選ぶ時は定期的な研修やOJT(On the Job Training)を実施し、新人が業務に慣れるまでのサポートを徹底しているかもチェックしましょう。
マニュアルを作っている会社もあります。
このように訪問入浴の業務の質と安全性を確保するためには、十分な教育体制の整備が不可欠です。
定期的な研修の実施や、経験者による指導を行うことで、新人や未経験者も安心して業務を行うことができるようになります。
訪問入浴のやりがい
訪問入浴の仕事は、日々の業務が多忙であり、身体的・精神的な負担も少なくありません。
しかし、その一方で、この仕事には他の職種にはない大きなやりがいが存在します。
この章では訪問入浴のやりがいを3つ紹介します。
チームでの達成感
訪問入浴の業務はチームで行うため、ご利用者様に最適なサービスを提供するためのチームワークが求められます。
訪問入浴の業務におけるチームワークは、個人の能力を超えた大きな成果を生む源泉となり、それが深い達成感をもたらします。
一人ひとりが持つ専門知識や技術を組み合わせることで、ご利用者様にとって最も適切なサービスを提供することが可能となります。
例えば、看護師の医療的な知識と介護士の実践的な技術が連携することで、ご利用者様の安全と快適さを両立させたサービスが実現します。
このような成功体験は、チーム全員の自信やモチベーションを高める要因となります。
例えば訪問入浴時、ご利用者様が体調を崩していることもある。
看護師の迅速な判断と介護士の的確なサポートにより、ご利用者様から「今日のサービスは特に心地よかった」と言われると、チーム全員の努力の結果であると感じ、共有の喜びと達成感を味わえる。
訪問入浴の業務において、チームでの連携を深めることは、サービスの質を向上させるだけでなく、業務のやりがいや達成感を高める要因となります。
日々のコミュニケーションを大切にし、共に学び、成長することで、更なる達成感を得ることができるでしょう。
家族からの感謝
訪問入浴のサービスは、ご利用者様だけでなく、そのご家族様にも大きな影響を及ぼします。
高齢者や障害を持つ方々のケアは、ご家族様にとっても大きな負担となることが多い。
その中で、訪問入浴のサービスを利用することでご家族様が一息つく時間を持つことができ、また、専門家の手による適切なケアが行われることに安心感を覚えます。
その結果としてご家族様からの深い感謝の言葉を受け取ることができるのです。
訪問入浴はご利用者様のご家族様からの感謝の言葉を直接受け取ることができる、大きなやりがいのある仕事です。
訪問入浴の業務を行う際は、ご利用者様だけでなく、そのご家族様の気持ちや状況にも気を配ることが大切です。
ご家族様からの感謝の言葉は、業務のやりがいを感じる大きな要因となるでしょう。
日々のサービス提供を通じて、ご家族様の心に寄り添い、信頼関係を築くことを心がけましょう。
リラックスした表情
訪問入浴のサービスを提供する際、最も心温まる瞬間の一つは、ご利用者様のリラックスした表情を目の当たりにすることです。
この表情は、サービスの質やスタッフの対応が適切であることの証とも言え、日々の業務の中での大きなやりがいとなります。
ご利用者様のリラックスした表情は、訪問入浴サービスの成果を直感的に感じることができる瞬間であり、スタッフにとっての最大の報酬とも言えます。
入浴は、身体を清潔に保つだけでなく、心身のリラクゼーションにも寄与します。
特に、高齢者や障害を持つ方々にとっては、日常生活の中での少ない機会となるリフレッシュの時間です。
訪問入浴のサービスが適切に提供されることで、ご利用者様はその安心感や快適さをリラックスした表情として示してくれます。
訪問入浴のサービス提供時には、ご利用者様の心身の状態に気を配り、そのニーズに応じたケアを心がけることが大切です。
そして、その結果として得られるご利用者様のリラックスした表情は、スタッフの努力が実を結んでいる証となります。
このような瞬間を大切にし、サービスの質を更に向上させるためのモチベーションとして活用しましょう。
訪問入浴の仕事の流れ
この章では訪問入浴の仕事の流れを紹介します。
①入浴車で訪問
必ず、介護職員2人・看護職員1人の3人1組で訪問します。
②浴槽の準備
浴槽は必ず2人で安全に運びます。
アサヒサンクリーンの浴槽は軽量化し約10㎏なので、運びやすくなっています。
③脱衣
看護職員と連携しながら、お客様の脱衣を行います。
④浴槽へ移乗
チームで移乗します。
お客様に合わせた様々な移乗方法があります。
⑤入浴介助
⑥ベッドへ移乗
チームで移乗します。
職員の身体への負担を軽減するために、スライダーボードを導入するなど、働きやすい環境整備が進められています。
⑦浴槽の片づけ
⑧帰りのご挨拶
訪問入浴の仕事に必要な資格
訪問入浴のサービスは、ご利用者様の安全と快適さを確保するための専門的な知識や技術が求められる業務です。
ですが、無資格でも始めることができます。
要介護度の高いご利用者様の対応には相応のスキルが求められることから、資格の取得が推奨されることもあります。
例えば以下の3つの資格が挙げられます。
介護職員初任者研修:介護の基本的な知識や技術を習得するための研修
介護福祉士実務者研修:介護職員初任者研修よりも高度な知識や技術を習得するための研修
介護福祉士:介護系で唯一の国家資格。ケアに関する幅広い知識や技術を持つ
また、資格取得後も、継続的な研修や学びを通じて、最新の知識や技術を身につけることが大切です。
これにより、ご利用者様に安心してサービスを受けてもらうための信頼を築くことができるでしょう。
まとめ
皆さん、訪問入浴の「きつい」部分だけでなく、その背後にある「やりがい」、そして業務の流れについての理解を深めることができたでしょうか。
訪問入浴は単なるサービス提供以上のもの。
ご利用者様とそのご家族様の笑顔や安心を実現するための専門的な仕事です。
もし、あなたがこの業界でのキャリアを考えているなら、今回の知識は大きな力となるでしょう。
そして、すでに現場で活躍している方にとっては、改めて自分の役割の大切さを実感していただけたかと思います。
訪問入浴の業務は確かに大変な部分もありますが、その中には多くの喜びや成果が隠されています。
訪問入浴に携わる皆さんの日々の努力が、多くの人々の笑顔を生む原動力となっているのです。