「訪問介護の料理って気を付けることがいっぱいでちゃんとできるか不安…。」
ご利用者様の病歴やアレルギーなど健康に関わることもあるから失敗できない…。
嚥下障害がある方に、料理の固さや大きさを間違えてしまうと窒息するなんてことも。
ということでこの記事では、訪問介護の料理の流れから各工程のポイントなどを紹介しています。
全部読んで、ご利用者様に満足していただける料理を作りましょう!
訪問介護における料理について
介護保険サービスの訪問介護では、ご利用者様の自宅を訪問し、料理をすることもあります。
その際、ご利用者様の自宅にある食材や調味料を使用して、その場で調理を行うことが一般的です。
ご利用者様にとって馴染みのある食材や調味料を使うことで、食事が食べやすくなります。
しかし、必ずしもご利用者様の自宅の食材だけで料理をするには難しい場合もあります。
その時は、近くのスーパー等で食材を買い足し、ご利用者様の自宅で調理をすることになります。
次の章から、具体的な訪問介護の料理の仕事について解説していきます。
訪問介護の料理の流れ
この章では、訪問介護における料理の基本的な流れについて解説します。
アレルギーや禁止食の把握
訪問介護の料理において最も重要なのは、ご利用者様のアレルギーや禁止食を正確に把握することです。
これを怠ると、健康を害する可能性があります。
例えば、アレルギー情報を確認せずに料理を提供した場合、呼吸困難等の重篤なアレルギー反応を引き起こす恐れがあります。
アレルギーの代表的な例として、そばや乳製品、えびやカニなどの魚介類があります。
どれも、知らなければ食材としてよく使うものです。
事前にしっかりと情報を収集し、アレルギー成分を避けた食事を提供することで、安全な食環境を確保することができるのです。
買い出し
買い物はご利用者様の自宅近くのスーパー等で、決められた予算内で食材を購入します。
ご利用者様の好みや栄養バランスを考慮した食材選びをしましょう。
例えば、豆腐一つであっても木綿や絹ごし、固さも様々です。
ご利用者様の好みの食材を選ぶことが、直接食事の満足度に影響します。
しかし、健康面も考慮する必要がありますので、栄養バランスを考えて選びましょう。
買い出しは、ご利用者様の食事の満足度と健康面に影響を与える重要なステップです。
調理
調理では、味付けや食材の形状、衛生管理が重要です。
例えば、嚥下障害があるご利用者様に大きな形状や固い食材を使用すると、窒息のリスクが高まります。
また、衛生管理ができていないと、食中毒の原因となり得ます。
ご利用者様に食事を楽しみ、満足していただくためには味付けも重要です。
味の好みを把握しつつ、健康状態も考え、塩分を控えめにするなど調整しましょう。
家庭での調理とは違い、訪問介護の調理は、ご利用者様の好みを考慮し、健康や安全面を考えて行う必要があるのです。
買い出しのポイント3選
この章では、買い出しの際に重要な3つのポイントについて解説します。
食材の在庫をチェック
まず、ご利用者様の自宅にある食材の在庫を確認することが重要です。
すでにある食材をまた買ってしまうと、ご利用者様おひとりでは食べきることができないかもしれません。
また、在庫次第では、買い出しをせずとも調理できる材料がそろっていることもあります。
買い出しをする前に、必ず在庫を確認するようにしましょう。
アレルギー成分の確認
次に、買い出しの際にはアレルギー成分を確認することが重要です。
現代では、レトルト食品や味付け専用のたれなど加工されたものが多く、中にはアレルギー成分を含むものもあります。
ご利用者様のアレルギーを確認しておくことはもちろん、購入するものは成分表をチェックするようにしましょう。
アレルギー情報を正確に把握し、安全な食材選びをすることで、ご利用者様の健康を守ることができます。
栄養バランスを考慮
栄養バランスを考慮した食材選びをすることも重要です。
栄養バランスが偏った食事は、ご利用者様の健康を損なう可能性があります。
基本的には、炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素がバランスよく含まれているかをチェックします。
炭水化物が手軽でついつい選んでしまいがちですが、たんぱく質やカルシウムなどの他の栄養も摂れるよう考えましょう。
調理のポイント3選
この章では、調理の際に重要な3つのポイントについて詳しく解説します。
ご利用者様好みの味付け
調理においてポイントになるのは、ご利用者様の好みに合わせた味付けをすることです。
味付けは食事の満足度を大きく向上させることができます。
例えば、ご利用者様に食欲がない場合でも、好きな料理の香りがすると、食べたくなるかもしれません。
反対に、薄味が好きなのに、濃いめの味付けにしてしまうと、食べようとしていても完食できないことも。
他にも、健康状態を考え、高血圧であれば塩分を控えめにするなどの調整が必要です。
したがって、ご利用者様の健康状態や好みに応じた味付けは、訪問介護における調理の重要なポイントとなります。
嚥下能力に合わせた形状
食材の形状を嚥下能力に合わせることは、安全な食事提供のために重要です。
ご利用者様の嚥下能力に適さない大きさや固さの食材があると、窒息の恐れがあります。
そのままでは食べにくい食材であっても、柔らかく煮たり、細かく切ったりすることで食べやすくなることもあります。
特に、ご利用者様の好きな食べ物であれば、工夫して食べられるように調理すると、喜んでいただけます。
食材の形状を考慮することで、ご利用者様に安全で快適な食事を提供することができます。
徹底した衛生管理
衛生管理は、食中毒などのリスクを防ぐために極めて重要です。
高齢になると、免疫が低下していたり、持病があったりして、感染症にかかると悪化する恐れもあります。
調理する自分の手を清潔にすることはもちろん、調理器具も洗浄してから使いましょう。
作り置きの注意点
この章では、作り置きをする際に留意すべきことについて解説します。
ケアプランに沿って作る
作り置きの料理はケアプランに沿って行います。
訪問介護のサービス内容ももちろんですが、作り置きに関してもケアプランで決められています。
例えば、調理はできなくても、電子レンジなら使えるご利用者様であれば、作り置きをしておくと温めて食べることができます。
この場合、レンジで温めることを考慮し、耐熱皿に盛り付けておくと良いでしょう。
衛生管理
作り置きの際には、衛生管理も極めて重要です。
食中毒などのリスクがあるため、より気を付ける必要があります。
例えば、作った料理は必ず冷蔵庫に入れておく、ご利用者様にいつ食べるものかを伝えておき、何日も放置しないなどの工夫が必要です。
ご利用者様が迷わないよう、食べる時間のメモを置いたり、付箋で貼っておくと良いです。
作り置きは、長く置きすぎると細菌が繁殖する恐れもありますので、徹底した衛生管理が必要なのです。
また、食べかけのものを置いておくこともやめておきましょう。
一度箸をつけると、菌が繁殖しやすくなりますし、ご利用者様にも食べきれなかった分は、そのあと食べないよう伝えておきます。
作り置きをする際は、介護士もご利用者様の衛生管理に気を付ける必要があるのです。
時間内に完成させるためにすべきこと
この章では、訪問の時間内に料理を完成させるための具体的な方法について解説します。
基本の料理をマスターする
基本の料理をマスターすることは、時間内に効率的に料理を完成させるために不可欠です。
基本的な料理技術と段取りを身につけることで、調理のスピードが向上します。
例えば、炒め物や煮物の基本的な手順を習得することで、さまざまな料理に応用できます。
逆に、基本技術が不足していると、調理に時間がかかりすぎることがあります。
作れた方が良い一般的な料理は以下の通りです。
汁物:みそ汁
おひたし:ほうれん草や小松菜のおひたし
煮物:煮魚やかぼちゃの煮物など
焼き物:豚のしょうが焼きや焼き魚など
卵料理:オムレツやたまごやきなど
中でも卵は栄養価が高く、肉や魚が食べにくいというご利用者様にオススメです。
効率的に料理をするには、まず基本の料理をマスターしましょう。
上司や先輩のやり方を参考にする
上司や先輩のやり方を参考にすることで、効率的な調理方法を学べます。
経験豊富な上司や先輩は、時間を節約する調理のコツを知っていますので、レシピや段取りの方法を聞いてみましょう。
自分のやりやすい方法でばかりしていると、実はもっと効率よくできたことを知ることができません。
上司や先輩の経験してきたことを聞き、取り入れていくことが、効率的な調理につながるのです。
メインの食材ごとにいくつかレシピを考えておく
メインの食材ごとに複数のレシピを準備しておくと、調理の幅が広がります。
事前にレシピを準備しておくことで、レシピを考える時間が減り、スムーズな調理ができます。
例えば食材ごとのレシピは、以下のようなものがあります。
豚肉 | ・しょうが焼き ・味噌炒め |
ひき肉 | ・ハンバーグ ・オムレツ |
魚 | ・鮭の塩焼き ・白身魚のムニエル |
野菜 | ・かぼちゃの煮物 ・ほうれん草のおひたし |
レシピを準備しておくと、その日の食材の状況に応じて最適な料理を選べます。
効率的に調理をするには、ある程度レシピを考えておきましょう。
手際よく調理する
手際よく調理することは、時間内に料理を完成させるために必要です。
効率的に動いたり、段取りよく調理することは、経験し、慣れることで身についていきます。
食材を切る順番や、煮ている間に他の料理を作るなどの効率的な動きができていないと、無駄な動きが多くなり、時間がかかります。
訪問介護での調理の時間は限られているので、手際の良い調理は、時間効率を高めるために重要です。
まとめ
この記事を読んでいただき、ありがとうございます。
訪問介護における料理の流れから、買い出しのコツ、調理のポイント、作り置きの注意点、そして効率的な調理方法まで、幅広く紹介してきました。
私たちが共有した情報があなたの料理スキルを高め、介護の現場での食事提供をより良いものにする手助けになれば幸いです。
あなたの努力が、ご利用者様にとっての食事の時間をより特別なものにしていけることを願っています。